Classic Car & Restoration

フィアットパンダ 納車整備①

2020.11.28 Sat

関東のオーナーさんのもとへ旅立つことになったフィアットパンダの納車整備です。
この車両は約10年前に弊社にて販売させて頂き
その後も継続してメンテナンスさせて頂いていた車両です。
販売させて頂いた時の走行距離は2万キロほどでしたが
今では走行距離は19万キロになりました。
大きな不具合は一度も無くホントに良く頑張ってくれました。

走行距離19万キロ23年落ちの車両ですが
それでもまだ修理して乗りたいと言って下さる方がおられる。
しかも車離れが顕著と言われている若い世代の方です。
嬉しい限りです。
遠くに行ってしまうので少し寂しい気待ちもありますが
逆のパターンも最近多いので仕方ないですね。

納車整備に取り掛かるにあたって気になっていたのがクラッチです。
この車両は19万キロ走って一度もクラッチを交換していないのですが
いまだに減っているような感覚がありません。
遠方に行ってしまうので後からのサポートもし難いので
予防整備としてクラッチはオーバーホールしておく事にしました。


ミッションを下ろしてクラッチカバーが見えました。
ダイヤフラムスプリングの当たり部分は流石に摩耗していますが
他は特に異常ありませんでした。

レリーズベアリングは多少のごろごろ感があるものの
ディスクはまだ十分残量がありました。驚きです!
前オーナーさま、相当運転が上手だったのだと思います。

更に驚いたのがフライホイールです。
研磨に出すことは覚悟していましたが、なんとほぼ摩耗が無いです。
軽く研いだだけで段差は一切ありません。19万キロ走ってこれはなかなかものですね。(^O^)

ちなみに最近のパンダ3等に搭載されているデュアルマスフライホイールは
5~6万キロ位で不具合がでる車両も多いそうです。
デュアルマスフライホイールとはフライホイールを2分割にして
ダンパースプリングを介して繋ぐ事によってクラッチ継続時の振動を吸収する役目をします。

要は多少クラッチを繋ぐのが下手でもスムーズに発進できるようにアシストしてくれるような部品です。メリットはもちろん多いのでしょうけど。。。重量が重くなり、コストが掛かり、
ダイレクト感が無くなり、5~6万キロでもし壊れたら数十万の修理費が掛かる。

もし新車購入時にデュアルとソリッドのフライホイールが選べるとしたら
果してどちらを選ぶ方が多いのでしょう。。。(-_-)

至れり尽くせりの装備が今の車には溢れていますが
本当にお客さんが求めておられる物は何なのか?
を考え常に最善の提案が出来るように仕事に取り組みたいと思います。

 

 

新しいクラッチ組めました。

クラッチワイヤーも23年間お疲れさまでした。